イタリア通信047:セリエA終盤戦展望
(03.1999)
ヨーロッパサッカー界も今週から欧州3大カップ「春の陣」に突入、終盤戦を迎えた各国のリーグ戦、カップ戦も合わせて、98-99シーズン総決算の時期がやってきた。イタリア・セリエAも残り11試合、全日程の2/3を終えて大勢がかなり明らかになってきている。 23節を終えた時点での順位は以下の通り。
48 ラツィオ
44 パルマ
44 フィオレンティーナ
43 ミラン
36 ウディネーゼ
35 インテル
35 ローマ
34 ユヴェントス
32 ボローニャ
28 ヴェネツィア
27 バーリ
26 カリアリ
25 ペルージャ
23 サンプドリア
22 ピアチェンツァ
20 サレルニターナ
20 ヴィチェンツァ
15 エンポリ(-2)
一見してわかるとおり、4-5位、9-10位の間に溝ができて、18チームが3つのグループに分かれる形となっている。スクデット(リーグ優勝)、UEFA出場権、そしてセリエA残留が、それぞれのグループの中で展開される戦いのテーマとなる。
スクデット争いは、ラツィオ、パルマ、フィオレンティーナ、ミランの4チームに完全に絞られた。この中で、2位以下に4ポイントの差をつけたラツィオが優位に立っていることは間違いない。戦力的に見ても頭ひとつ抜きん出ているのに加え、これからの3試合の相手がいずれも下位チームである点も、リードを拡げる上では有利な要素。
とはいえ、獅子奮迅の活躍を続けてきたアルメイダ(躍進の真の立役者は彼だろう)の故障は不安材料である。彼のリザーブだったヴェントゥーリンがシーズン途中でA.マドリードに移籍してしまったため、アルメイダはラツィオ唯一の専業ディフェンシヴ・ハーフ(プリマヴェーラにはスバッカンティという有望な若手がいるが、もちろん代役にはまだまだ荷が重い)。彼を欠いたラツィオは、中盤のフィルターが効かなくなり、最終ラインもずるずると後退してしまうことが多くなる。
ラツィオを追う3チームの中では、大崩れしない安定した戦いを続けているパルマが最も侮りがたい相手だろう。しかしパルマは、次節のフィオレンティーナを初め、上位チームとの対戦をすべてアウェイで残しているという小さくないハンデを背負っている。コッパ・イタリア、UEFAカップを含め、3つのコンペティションすべてに優勝の可能性を残しており、これからほぼ毎週2試合づつという超過密日程を戦い抜かなければならないのも厳しいところだ。
一方、そのパルマと並ぶフィオレンティーナは、バティストゥータという「機械仕掛けの神」を失ってからの3試合が2分1敗、わずか1得点。チームとしては健闘を続けているのだが、1試合平均1点近いアベレージを保ってきたバティゴールの不在はあまりにも大きい。復帰は早くても4月初め。次節のパルマ戦、続くアウェイのヴェネツィア(最近絶好調)戦が生き残りを賭けた大きな節目になりそうである。4位のミランは「今年はスクデットを狙う年ではない」とザッケローニ監督が明言しているとおり、チームとしてまだまだ未完成。欧州カップは不出場、コッパ・イタリアでもすでに敗退と、リーグ戦に集中できる点は強みだが…。
ところで、来シーズンから欧州カップのシステムが大幅に変わるのはご承知の通り。イタリアはチャンピオンズ・リーグに4つのポスト(本選一次リーグと予備予選3回戦に2つづつ)を得ており、今年参加しているユヴェントス、インテルのどちらかが優勝すればセリエAの上位3チーム、そうでなければ上位4チームが出場権を獲得することになる。ポイント差を見る限り、このポストを巡る争いに現在5位以下のチームが絡んでくるのは難しそうである。
続く第2グループ(ウディネーゼ、インテル、ローマ、ユヴェントス、ボローニャ)の争点はUEFAカップ出場権。イタリアからの出場枠はセリエA5-6位とコッパ・イタリア優勝チーム(おそらく決勝はパルマ-フィオレンティーナ)の3つだが、ここに今年のUEFAカップとカップウィナーズ・カップの優勝チーム枠、更にはチャンピオンズ・リーグ出場権までが絡んでくるため、最終的にいくつのポストが割り当てられることになるのかはまだわからない。
いずれにしても、今年のチャンピオンズ・リーグで優勝しない限りUEFAカップに回らざるを得なくなったユヴェントス、インテルとしては、7月初旬から始まるインタートト・カップに参加する以外にヨーロッパ戦線に踏みとどまる可能性を失いかねないリスクを避けるためにも、何とか6位以内を確保しておきたいところだろう。
とはいえ、年明け以来ラツィオ並みのペースでポイントを重ねているウディネーゼ、「ゼーマンの冬」が終わってラストスパート体制に入ってきたローマと、ライバルも手強い。クラブ財政上の生命線である欧州カップ出場権を巡る戦いも、スクデット争い同様、最後まで目が離せない。
さて、「弱小クラブのスクデット」、セリエA残留を巡る争いはまさにこれからが本番である。毎年4チームが降格するというこの厳しい戦いに、今シーズンはセリエAの半数、9チームが巻き込まれている。残留ライン(14位)から8ポイント離されたエンポリ(監督交代後も2連敗)が脱落寸前だが、その上のヴィチェンツァ、サレルニターナ、ピアチェンツァにはまだまだ十分なチャンスが残されている。
1試合平均2ポイント以上のペースで進んでいく上位と違い、残留ラインは1試合平均1ポイント前後でしか動かないだけに、1勝の3ポイントで局面が大きく変わることもままあるからだ。現在降格ラインからわずか3ポイント差にいる「中田の」ペルージャも、今のところ安心できる状況では全くない。今週からエンポリ、ヴィチェンツァ、サレルニターナと続く「直接対決3連戦」が正念場になるだろう。
これまではスポットの当たることが少なかった残留争いだが、今年は中田のおかげでより興味を持って眺めることができそう。勝ちよりも引き分けと負けの方がずっと多いチーム同士が1ポイントを巡って繰り広げる死闘にも、ぜひ目を向けてみてほしい。
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