シーズンが終わった途端、各クラブはすでに来季のチーム作りに向けて動き出しています。当分の間、トピックス形式で移籍マーケットその他の話題を取り上げていきたいと思います。
例によって更新が滞っているうちに、カンピオナートはとんでもない幕切れを迎えてしまいました。他のところ(2002CLUB、ワールドサッカーダイジェスト)にも書きましたが、あの豪雨はカルチョの神様のいたずらとしか思えません。ラツィオ、ユーヴェともに、スクデットを獲る資格は十分あったと思います。これで、98年(ユーヴェ)、99年(ミラン)に続いて、3年連続で創立100周年を迎えたクラブが優勝したことになります。1901年創立のクラブはセリエAにはないので、このジンクスはここまででおしまいですが…。
さて、セリエAは終わったといっても、シーズンが終わったわけではありません。あと3節となったセリエBでは、昇格・降格をめぐる争いが白熱してきましたし、セリエC1、C2も昇格を賭けたプレイオフ、降格を賭けたプレイアウトが残っています。代表関係も、5月末にはU-21欧州選手権(スロヴァキア)、そして6月10日からはEURO2000が控えています。というわけで、今年も昨年同様、シーズンオフの話題をトピックス形式でお送りしていくことにします。なるべく頻繁に更新していくつもりなので、ときどきのぞいてみてください。
◆ ◆ ◆ 下でお伝えしたバティストゥータの移籍問題は、どうやら決着が着いたようです。23日にアロイジオ代理人が、ローマのセンシ会長、ルッケージDG、フランコ・バルディーニ(移籍マーケット・コンサルタント)と7時間に渡る会談を行い、ローマへの移籍(移籍金700億リラ=約35億円、年俸120億リラ=約6億円の3年契約)で合意に達しました。この日の夜、代表に合流するためアルゼンチンに向けて出発したバティストゥータ本人も、昨日、ブエノスアイレスの空港でローマ移籍決定を認める発言をしています。まだ契約書へのサインが済んでいないため、正式発表には至っていませんが、実質的には100%決定といっていいようです。バティストゥータ、ローマへ(5/25)
ローマはトータルで1420億リラの投資
すでに書いたように、31歳の選手に1420億リラ(約71億円:移籍金プラス税込み年俸3年分)も投資するというのは、かなりのリスクを伴います。2-3年後には引退が確実ですから、払った移籍金以上の額で「転売」することは不可能(ラツィオは520億リラでヴィエーリを買った1年後に900億リラでインテルに売却、380億リラもの差額を得ています)。したがって、この投資を回収する方法は、バティストゥータがピッチの上で出した結果だけ、ということになります。
とはいえ、今シーズンも22ゴール(PKなし。得点王のシェフチェンコはPKを除けば16ゴール)と、セリエA最高のストライカーであることを証明して見せただけに、故障さえなければ、あと1-2年は最低15ゴールの計算が立つ選手であることは確か。彼の力でローマがスクデットあるいはUEFAカップ、最低でもチャンピオンズ・リーグ出場権を勝ち取ることができれば、十分元は取れるのかもしれませんが…。
◆ ◆ ◆ 5月23日に中立地のヴェローナで、チャンピオンズ・リーグ出場権をかけたプレーオフが行われました。結果は3-1でインテルの勝利。浮き沈みの多いシーズンでしたが、最後の最後でなんとか面目を保った格好です。R.バッジョ、有終の美を飾る。来期はラツィオ!?(5/25)
CL出場権プレーオフ:インテル3-1パルマ
この日最も注目されたのは、右足大腿二頭筋の肉離れが治り、1ヶ月ぶりに復帰したクリスチャン・ヴィエーリでした。イタリア代表にとってはまさに頼みの綱だけに、何とか早くトップフォームを取り戻してもらいたい、この試合はその第一歩、という状況だったわけです。しかし、前半30分、DFラインの裏に通ったロングパスを追って20mほど走った後、またも右太股の裏に手を当てて足を引きずりはじめます。痛めたのは、治ったばかりの同じ場所でした。今年に入ってから通算3度目。完全に慢性化しているようです。翌日、MRでスキャンした結果出された診断は、練習再開まで2週間、復帰まで1ヶ月。イタリア代表は、ヴィエーリ抜きでヨーロッパ選手権を戦わなければならなくなりました。
ヴィエーリに替わってサモラーノが入った時点のスコアは0-0。内容的にはインテルがやや押し気味ながら、双方ともに決め手を欠くという展開でした。そして迎えた前半34分。インテルが相手エリア右角よりもちょっと奥に入ったところでFKを得ます。ボールをセットしたのは、この日がインテルでの最後の試合となるロベルト・バッジョ。場所が場所だけに、誰もがクロスを予想したその時、彼の右足から放たれたボールは、緩やかな弧を描いてニアポスト側、ゴール右隅に吸い込まれました。
前半は1-0のまま終了。後半に入って追い込まれたパルマがやや押し返し(とはいえインテルのカウンターもしばしば見られましたが)、25分には、まったく不調だったアモローゾに替わって入ったスタニッチがCKを頭で押し込み1-1と追いつきます。その後インテルは左MFのセレーナを下げてレコーバを投入。38分にはそのレコーバが左サイドライン際からクロスを上げ、ヘディングで競り合ったサモラーノがエリア中央からそのボールを後ろに落とします。そこに詰めていたのはまたも彼、バッジョでした。この後、ロスタイムにサモラーノが決定的な3点目を決めましたが、試合そのものは、バッジョが左足のボレーシュートでゴール左隅にボールを突き刺した時点で終わっていたといってもいいでしょう。
リッピ監督との対立でキャリア終盤の貴重な1年を文字通り棒に振った末に、最後の最後でドラマチックな幕引き。「あまりにバッジョ的な」結末としか言いようがありません。「インテルとはこれでお別れ。来シーズンどうするかは全く白紙」というのが試合後のコメントでしたが、すでに噂されているナポリ、ヴィチェンツァからのオファーの他に、ラツィオのクラニョッティ会長もバッジョの獲得(年俸25億リラの2年契約)を考えはじめているようです。来シーズンのラツィオはチャンピオンズ・リーグ制覇が最大の目標だけに、このタイトルへのこだわりを隠さないバッジョにとっては願ってもない話かもしれませんが、一方で、ラツィオでは出場機会が大きく限られることも明らか。ナポリ、ヴィチェンツァで「王」として存分にプレーしキャリアを終えるのか、タイトルにこだわるのか、その選択が注目されるところです。
◆ ◆ ◆ ヴィチェンツァ、Aまであと一歩。サンプドリアは昇格危うし(5/23)
セリエB第35節 (21/05/2000)
61 ヴィチェンツァ
59 ブレシア
57 ナポリ
56 アタランタ
53 サンプドリア
52 サレルニターナ
50 ジェノア
47 トレヴィーゾ
45 ラヴェンナ
45 エンポリ
44 キエーヴォ・ヴェローナ
43 ペスカーラ
43 チェゼーナ
43 コゼンツァ
42 モンツァ
42 ピストイエーゼ
42 テルナーナ
39 アルツァーノ
29 サヴォイア
29 フェルマーナ
第36節のカード:アタランタ-フェルマーナ、コゼンツァ-キエーヴォ、エンポリ-アルツァーノ、ナポリ-ブレシア、ペスカーラ-ピストイエーゼ、ラヴェンナ-サレルニターナ、サンプドリア-サヴォイア、テルナーナ-モンツァ、トレヴィーゾ-ジェノア、ヴィチェンツァ-チェゼーナついに終盤を迎えたセリエB。5/21の第35節を終え、まだ昇格決定はゼロ、降格もサヴォイア、フェルマーナの2チームだけという激戦が続いています。
ここまで最も安定した戦いを続けてきたのはヴィチェンツァ。昨シーズンセリエAを戦ったメンバーの大半が残っており、元々優勝候補の筆頭に挙げられていただけに、首位は順当といえるでしょう。本来ならばセリエAの中堅クラブで戦っていてもおかしくないトレクァルティスタ・ザウリが、ベテランのルイーゾ、U-21のレギュラー・コマンディーニ(ここまで20ゴール。すでにミランが来期の所有権を買い取り済)という2トップを支える攻撃陣は、ここまでダントツの68ゴールを挙げています。開幕から常に首位争いの先頭に立っており、昇格決定は時間の問題といっていいでしょう。
開幕直前に監督交代(バルディーニ→ソネッティ)があったにもかかわらず、それを感じさせない強さを見せてきたブレシアも、まずまず安定した戦いぶり。若手のヴァヴァッソーリ監督が、プリマヴェーラ育ちの若手とカレーラ、ナッピ、カニーヒア(!)といったベテランをうまく使いこなしてきたアタランタは、ここに来てやや失速気味です。
一方、やっと本来の調子を取り戻して来たのがナポリ。先月、サンプを追い抜いてたどりついた昇格圏内に、その後も何とか踏みとどまり続けています。前節のチェゼーナ戦も、0-2から同点に追いついて貴重な1ポイントを勝ち取るなど、粘りを見せているのもいい兆候。その点、相変わらず不安定なのがサンプドリアです。前節はモンツァを下したものの、ここ5試合で2勝3敗(6ポイント)はいただけません。セレーニ、ヴェルガッソラ(来期はユーヴェ)、ヴァサーリ(B屈指の右ウイング)、パルミエーリなど、本来ならばヴィチェンツァと首位を争って然るべきメンバーが揃っているのですが…。残りはまだ3試合。サンプの下のサレルニターナにもチャンスは残っていますが、U-21代表に中盤の柱2人(ヴァンヌッキ、ロッシ)を持って行かれてしまったのが痛いところです。
もっと熾烈なのが残留争い。すでにフェルマーナ、サヴォイアという南部(C1-B)からの昇格組が降格を決めていますが、問題はのこり2つの椅子。39ポイントのアルツァーノから45ポイントのラヴェンナ、エンポリまで、わずか6ポイントの間に10チームが固まるというダンゴ状態で、どこが落ちてもおかしくありません。むしろこっちの方が目を離せないかもしれませんね。
◆ ◆ ◆ 最終戦でヴェネツィアを3-1で下し、逆転でUEFAカップ出場権を手に入れたフィオレンティーナですが、クラブ内のゴタゴタは収まる気配がありません。試合終了後、この日2得点(実質的にはハットトリック)を挙げたバティストゥータが「チェッキ・ゴーリ会長と話をしたが、考え方にあまりにも隔たりがありすぎる。わたしはフィオレンティーナを愛しているが、この状態ではチームに残ることはできない。移籍をはっきりと申し入れた」という爆弾発言。ついに9年間のフィレンツェ暮らしに終止符を打つことになりました。彼もすでに31歳。その実力に比べれば大きな舞台で活躍する機会があまりにも少なかっただけに、引退までに一度はスクデットとチャンピオンズ・カップを手にしたい、ということなのでしょう。バティストゥータの行方は?(5/23)
ローマ、インテル、ラツィオの三つ巴
移籍先として最も有力視されていたのは、モラッティ会長が以前からバティストゥータにご執心だったインテル。代理人のアロイジオは「条件が同じならインテルに行く」と明言していましたが、問題は、来期のチャンピオンズ・リーグ出場権が23日に行われるパルマとのプレーオフにかかっていること。ここで出場権を失うようだと、インテルにとっては、最低600億リラの移籍金と100億リラの年俸(クラブの負担はその倍)を支払う価値が大幅に減ってしまいます。これを睨んで強力なプッシュに出ているのが、フィオレンティーナのチェッキ・ゴーリ会長から「もし放出するならローマに売る」という口約束を得ているローマのセンシ会長。移籍金700億リラ、年俸120億リラという破格のオファーを出して、プレーオフの結果を待っています。しかし、31歳で「資産」としての価値がほとんどゼロに近い選手(数年後に売却益を得ることは不可能)にこんな金額をオファーするというのは、上場したばかりのクラブにとっては自殺行為に近いような気もするのですが…。株価の動向にも注目したいところです。
もうひとつの移籍先候補はラツィオですが、クラニョッティ会長の本当の目的はヴィエーリを買い戻すこと。「バティストゥータのような選手を欲しくないクラブがあるわけがない」と獲得に乗り出すことを匂わせつつ、実はローマを蹴落としてインテル行きの流れを作り、ヴィエーリを放出できる環境を作るのが狙いでしょう。
トップに戻る