
イタリア(4-4-2):ペルッツィ;パヌッチ(45' トッリチェッリ)、カンナヴァーロ、マルディーニ、ファヴァッリ(60' ペッソット);フゼール(46' トンマージ)、D.バッジョ(46' ディ・ビアージョ)、アルベルティーニ(46' キエーザ)、ディ・フランチェスコ;トッティ、インザーギ
スペイン(4-4-2):カニザレス(84' トーニ);ミチェル、マルセリーノ、パコ、セルジ;エンゴンガ(46' ヘルグエーラ)、アルキーザ(46' ヴァレロン)、エチェベリーア(46' ダーニ)、デ・ペドロ(64' アランザバル);ラウール、ウルツァイツ(79' サンチェス)
ゾフ監督は、マルディーニをCBだと考えているようで、左SBとして使う気はないようです。そのポジションにはファヴァッリが入りました。前線は、インザーギ、トッティの2トップですが、トッティはインザーギを前線に残してやや下がり目に位置し、フィニッシュを決めるよりもラストパスを出すことが役目という「10番」的な振る舞い。
試合は開始早々からイタリアが攻め込みますが、なかなかインザーギまでボールが渡りません。本来ならば、両サイドのフゼール、ディ・フランチェスコが積極的に前線に飛び出して攻撃をサポートするべきところなのでしょうが、両者とも不調、というよりも、対面のエチェベリーア、ミチェルをケアするので精一杯という感じで、まったくサイドが使えません。しかし14分、左サイドからのショートクロスをトッティがダイレクトの浮き球でインザーギへ流すと、インザーギは2人のCBにはさまれながらも胸トラップ一発で2人を振りきり、トラップしたボールの落ちざまをボレーシュート。これが見事に決まって1-0。
しかし、イタリアの攻勢もここまで。中盤の運動量ではっきりと上回るスペインに完全に試合を支配されます。特に悲惨だったのが左サイド(イタリアの)で、スペインの右SB、ミチェルはまさにやりたい放題。ほとんど中盤から前でプレーし、鋭いドリブルでファヴァッリをきりきり舞いさせます。スペインの同点ゴールも彼のドリブルから生まれました。右サイド深くまでドリブルで持ち込んだミチェルが、そのままファヴァッリ、マルディーニをかわしてエリア内へ。エンドライン際からファーポストに浮かせたクロスは、ペルッツィの頭上を越えてフリーで待つデ・ペドロの頭にぴったり合ってしまいます。
親善試合とあって、1-1で迎えた後半は両チームとも大きくメンバーを入れ替えました。イタリアは中盤をほとんど総入れ替え。右からトンマージ、ディ・ビアージョ、ディ・フランチェスコとローマの中盤をそのまま並べ、キエーザを右サイドのサイドアタッカーとして前線に置いた4-3-3(トッティは左のサイドアタッカーに回った)の布陣を採ります。ラツィオの会長時代には、ゼーマンの4-3-3に批判的だったゾフが、そのゼーマンのローマの選手をベースに4-3-3を試すというのも皮肉な話です。
その後半も開始直後はイタリアが右サイドのトンマージ、キエーザが積極的に攻め込み何度かいい形を作りますが、シュートチャンスにまでは至りません。そのうちに、守りでは激しいプレッシング、攻撃では短く早いパスをつなぐスペインが中盤を支配。イタリアの中盤は数的不利もあって、ほとんど機能しなくなってしまいます。そのイタリアが後半ほとんど唯一というチャンスを掴んだのが後半29分。右サイドから中に持ち込んだトンマージが、相変わらずエリア内で2人のCBに張り付かれているインザーギの足元にグラウンダーのパスをつけます。そのパスをゴールに背を向けて右のアウトサイドでコントロールしたインザーギは、次の瞬間反転しながらマーカーを外すとそのまま左足でシュート。この一瞬のスピードがインザーギの持ち味です。これで2-1とイタリアが再びリード。
しかし試合の趨勢は変わらず、その後も依然スペインが攻勢を保ちます。ほとんど浮き球を使わずショートパスで中盤を組み立てていくスペインは、そこからサイドに開くとMF陣も猛然と前線に走り込み、4対3、5対4といった数的優位をつくり出してしまいます。この日はラウールが不調だったのと、もうひとりのFWがヘディングが強い以外に取り柄のないウルツァイツだったのとで、イタリアはかなり救われたのではないでしょうか。しかし、後半36分、フリーで飛び出しドリブルでペルッツィと1対1になりかかったサンチェスをカンナヴァーロがスライディングで引っ掛けてPK。ラウールもこの時だけはきっちりゴールを決めました。
少なくとも内容的には、イタリアが勝ったとしたらあまりにも不条理だったでしょうから、この2-2はまあ妥当というところでしょう。インザーギ、トッティ(特に後者)の活躍は大きな収穫ですが、FW陣が強力なのは以前からわかっていること。やはり中盤がもっと攻撃をサポートしなければ厳しいところです。その意味では収穫とともに課題も残したゲームでした。しかしスペインのスピードとアグレッシヴさは印象的でした。スペインリーグはほとんどチェックしていないので、今回のメンバーはラウール、セルジとAビルバオの選手以外、ほとんど知らなかったのですが、若手が着々と育っているようです。特にミチェル。このセルタ・ディ・ヴィーゴの右SBはスピードといい技術といい、ディフェンダーというよりはトップレベルのウインガーです。すでにレアル・マドリードへの来期の移籍が決定しているという噂(パヌッチはお払い箱か)もさもありなんという感じ。注目しましょう。

GK:ブッフォン(パルマ・20)、ペルッツィ(ユヴェントス・28)
DF: カンナヴァーロ(パルマ・25)、ファヴァッリ(ラツィオ・26)、ユリアーノ(ユヴェントス・26)、マルディーニ(ミラン・30)、パヌッチ(R.マドリード・25)、ペッソット(ユヴェントス・28)、トッリチェッリ(フィオレンティーナ・28)
MF:アルベルティーニ(ミラン・27)、バキーニ(ウディネーゼ・23)、ディノ・バッジョ(パルマ・27)、フゼール(同・29)、ディ・ビアージョ(ローマ・27)、ディ・フランチェスコ(同・29)、トンマージ(ローマ・24)
FW:キエーザ(パルマ・28)、インザーギ(同・25)、トッティ(ローマ・22)、ヴェントラ(インテル・20)
◆対するスペイン代表は、カマショ監督になってから大幅な選手の入れ替えを断行し試行錯誤の最中。今回は親善試合ということもあり、大胆に新しい選手を試す方向でメンバーが選ばれているらしく、イエロもキコもゲレーロも不在です(スペインリーグはフォローしていないので事情はわかりません。怪我かもしれません)。メンバーは以下の通り。
GK:カニザレス(ヴァレンシア)、トーニ(エスパニョール)
DF:アランザバル(レアル・ソシエダ)、パコ(レアル・ソシエダ)、ミシェル(セルタ)、マルセリーノ(マヨルカ)、セルジ(バルセロナ)
MF:ヘルグエーラ(エスパニョール)、アルキーザ(A.ビルバオ)、デ・ペドロ(レアル・ソシエダ)、ラルディン(A.マドリード)、ラウール(R.マドリード)、ヴァレロン(A.マドリード)
FW:サンチェス(セルタ)、ダーニ(マヨルカ)、エチェベリーア(A.ビルバオ)、ウルツァイツ(A.ビルバオ)
すでに御承知の方も多いと思いますが、念のために今回の召集メンバー20人のリストを年齢つきで挙げておきます。
GK:ブッフォン(パルマ・20)、トルド(フィオレンティーナ・27)
DF: カンナヴァーロ(パルマ・25)、ファヴァッリ(ラツィオ・26)、マルディーニ(ミラン・30)、パヌッチ(R.マドリード・25)、ペッソット(ユヴェントス・28)、トッリチェッリ(フィオレンティーナ・28)
MF:アルベルティーニ(ミラン・27)、バキーニ(ウディネーゼ・23)、ジャンニケッダ(ウディネーゼ・25)、ディノ・バッジョ(パルマ・27)、フゼール(同・29)、ディ・ビアージョ(ローマ・27)、ディ・フランチェスコ(同・29)
FW:キエーザ(パルマ・28)、デル・ピエーロ(ユヴェントス・24)、インザーギ(同・25)、トッティ(ローマ・22)、ヴェントラ(インテル・20)
ポジション別に簡単に見て行きましょう。
―GKでは、ワールドカップでレギュラーだったパリウカが、先のウェールズ戦に続いて代表落ち。これでアッズーロとしてのキャリアは幕を閉じることになりそうです。この代表落ちについてパリウカ本人は「ゾフからは電話の1本もなかった。W杯3回を戦った31歳の実績ある選手に対する仕打ちとは思えない。彼のことをずっと尊敬してきたけれど、ひどく失望している」とマスコミにぶちまけましたが、ゾフの方は「代表に呼ばない選手ひとりひとりに電話でその理由を説明する必要があるとは思わない。私は自分のチームのGKとして2人(注:ペルッツィとブッフォン)を選んだ。それだけのことだ」とクールな対応。ペルッツィが故障で召集できない今回も、ブッフォンをレギュラーに据え、サブとしてトルドを呼んでいます。「一度決断して外した以上、パリウカをサブとして呼ぶのは正しくない」というのがゾフのコメント。
―DF陣でパリウカと同じ苦い思いを噛みしめているのが、やはり構想から外れたコスタクルタ。ゾフが代表のCBの中心として考えているのはカンナヴァーロ、ネスタ、ユリアーノ、ネグロといった若手であることは、彼らのうち3人が怪我で召集できない今回、あえてマルディーニをCBとして起用しようとしていることからも明らかです(前回呼ばれたフレージは、インテルで試合に出られずにいるため今回は呼ばれませんでした)。SBでは、サッキ、マルディーニの両監督に、そのパーソナリティが好かれず遠ざけられていたパヌッチが復帰。トッリチェッリを差し置いて、すぐに右サイドのレギュラーを確保しています。左はウェールズ戦に先発したペッソットに加えファヴァッリが4年ぶりの代表復帰。
―ビッグクラブでは大半が外国人選手に占められているMFは、イタリアにとって最も手薄なパート。ヴェテランといっていい3人(モリエーロ、ディ・マッテーオ、ディ・リーヴィオ)を外し、バキーニ、ジャンニケッダというウディネーゼの若手2人(W杯前にぼくが推していたのを覚えている方は...いないか)、そしてディ・フランチェスコ(彼はもう29歳ですが)を呼んだ背景には、完成された選手よりも「伸びしろ」のある選手を選ぶという長期的な視点が働いているように見えます。ユーヴェでレギュラーを確保しつつあるタッキナルディ、トラップの下で台頭著しいアモローゾ(フィオレンティーナ)、昨年ヴィチェンツァでチャンスをつかみミランに戻った今年もボバンを差し置いてレギュラーを張っているアンブロゼッティ、一度は代表に呼ばれたこともあるトンマーゾ(ローマ)あたりにも、彼らに続いてほしいところです。
―逆に人材過剰(!)のFW陣には、しかしヴィエーリ、R.バッジョの両巨頭が故障(両者ともに予想以上に長引きそうです)とあって、最近絶好調のトッティ、そして期待の新星ヴェントラという2人の若手が「抜擢」されました。抜擢といっても、トッティは22歳にしてもうセリエA6シーズン目、今まで呼ばれなかったのが不思議なくらいです。ヴェントラは、昨日スイスと欧州選手権予選を戦った(10番ピルロのゴールで1-0)U-21のタルデッリ監督から横取りする形でのA代表召集。期待の大きさが伺えます。
◆さて、今日の予想メンバーは以下の通り。マルディーニ前監督と同じく、ゾフもメンバー発表に関してはよく「ブラフ」を使う人なので、最後までわかりませんが、一応、2つのポジションを除いては固まっているようです(ちなみに、右SBのレギュラーということになっているペッソットは、昨日の練習で脚を痛め戦線離脱しています)。
ブッフォン;パヌッチ、カンナヴァーロ、マルディーニ、トッリチェッリ;フゼール、D.バッジョ、アルベルティーニ(ディ・ビアージョ)、ディ・フランチェスコ;インザーギ、デル・ピエーロ(トッティ)
ゾフに「迷い」があるのは、中盤のゲームメーカーにアルベルティーニとディ・ビアージョのどちらを使うか、そして(本人もゾフもリッピも否定しているとはいえ)明らかにベストコンディションとはいえないデル・ピエーロを「あえて」使うのか、それとも練習でも絶好調をアピールしているトッティを使うか、という2点。中盤に関しては、両者とも同じゲームメーカータイプであること、一方、攻守の両面でいざというときに頼りになるD.バッジョを外すわけにはやはりいかないことから、どちらかひとりを選ばざるを得ません。個人的には、アルベルティーニが依然調子を取り戻しているといえないだけに、ディ・ビアージョの方がいいように見えますが。
もうひとつの問題がデル・ピエーロです。今回は、せっかく「宿命のライヴァル」R.バッジョがいないにもかかわらず、絶好調のトッティに脅かされている状況。「格」としては文句のつけようのない"fuoriclasse"(イタリア語で文字どおり「別格」という意味)である彼も、昨シーズンのチャンピオンズ・リーグ決勝以来落ち込んだブラックホールから抜け出すことができずにいます。すさまじいプレッシャーの中でもがいていることは傍目にもはっきりわかるだけに(要するにフィジカル面以上にメンタル面で壁が破れないでいる)、一刻も早い「復活」を望む声も多いのですが、だからといってこれ以上の「特別扱い」が必要か、疑問の声も高まってきています。
◆試合はこちらの時間で午後8:45開始。相手のスイスは、グループBの中ではデンマークに次ぐ強敵ですが、苦戦するほどの相手ではないはずです。こちらも故障者が多く、ベストメンバーは組めないという情報も入っていますが、そうはいっても、シャプイザ、スフォルツァなどのブンデスリーガ組、フォーゲル、ミュラーといった若手など好選手も少なくないだけに油断は禁物。さて。