欧州選手権予選は3月から再開。イタリアの入ったグループ1の参加国は、デンマーク、スイス、ウェールズ、ベラルーシ。今シーズンも、ゾフ新体制の下でのイタリア代表の動向を、このページでお送りしていきます。

ブッフォン;パヌッチ、ネグロ、ネスタ、マルディーニ:フゼール、アンブロジーニ、アルベルティーニ、ディ・フランチェスコ;インザーギ、ヴィエーリ
デンマークにとって最大の不運は、開始わずか40秒後に、不用意なバックパスをインザーギにかっさらわれ、0-1から試合を始めなければならなかったことでしょう。グロンキエールが中盤左サイドのライン際でフゼールにプレスされ後ろを向いたその瞬間にバックパスを察知し、ゴールに向かってダッシュを開始したインザーギはさすがでした。
イタリアのメンバーは予想通り。ただし、ゾフ監督はベンチにトッティ、バッジョ、デルヴェッキオと3人のFWを置きました。2人の「ファンタジスタ」のうち一方を観客席送りにしたときに起こるであろう議論を予め避けたということでしょう。一方のデンマークは、最前線中央にヘディングの強いサンドを置き、ヨルゲンセン、グロンキエールという2人のウイングを両サイドに配する布陣。中盤では運動量の多いハインツェ、ニールセン、トムセン、ゴルドベックが走り回り、DFラインからもヘルヴェグがどんどん組み立てに参加するという攻撃的な布陣です。
案の定、というかなんというか、開始1分後からは完全なデンマークのペース。フゼール、ディ・フランチェスコは両サイドからの攻撃を押さえきれず、ずるずると後退、右サイドではパヌッチがグロンキエールとの1対1で翻弄され続けます。試合はほとんどイタリア陣内で進み、たまにボールを奪取しても、焦ってロングボールを蹴り込みヘディングで競り負けて取り返されるか、中盤でつなごうとしているうちに激しいプレスを受けてパスミスに追い込まれるか、という最悪の展開。おおげさではなく、3本以上パスがつながったのは、前半で3-4回だったのではないでしょうか。
1点リードで始まっただけに、DFラインがやや引き気味になるのはわからないでもないのですが、ボールを奪ってもカウンターのきっかけさえつかめない、というのは困ったものです。中盤が押し込まれているので前線との間に広いスペースができてしまい、FWが受けに戻らざるを得ない。しかし、戻ったFWが壁になってはたいても、そこから全体が押し上げる前に、MFが相手に囲まれてボールを奪われてしまう―という展開の連続でした。個々の局面ではほとんど数的不利、という状況なのですから手の打ちようがありません。攻撃の起点となるべきディ・ビアージョが、アルベルティーニと比べると縦への展開を急ぐタイプのプレーヤーだということも、むしろ一旦キープして周囲の上がりを待ちたい状況が多かったこの状況の中ではマイナスに作用します。
前半は何とか無失点でしのいだものの、後半11分の同点ゴールは、展開からみても避けられないものでした。ゾフは後半から、ほとんど試合から消えていたフゼールに替えてコンテを、さらに同点に追いつかれた後の後半18分には、キエーザ(外に開いてそこから1対1勝負を仕掛ける、という「宿題」はよく果たしましたが、いかんせんサポート不足。本人もやや持ちすぎの感あり)に替えてトッティを投入します。イタリアを救ったのはまさにこの2人でした。
キープ力のあるトッティが入ったことで、イタリアもようやく多少のタメをつくれるようになります。そして後半24分。敵陣に20mほど入ったところでボールを受けたトッティは、股抜き一発でマーカーを抜き去るとドリブルで突進。寄ってきたDF2人をもかわし、ゴールライン近くからシュマイケルとDFラインの間に絶妙のクロスを通します。ニアに詰めていたインザーギは間に合わなかったものの、ファーにはしっかりコンテがフリーで走り込んでいました。
しかし、その後の20分間は再びデンマークがゲームを支配、イタリアはそれを食い止めるのに精一杯で、ボールをとっても闇雲にクリアするだけという混乱ぶりでしたが、ドタバタしながらも何とか守り切るところはさすが、なのでしょうか、やはり。とはいえ、試合を通して印象に残ったのは、デンマークの激しいプレッシングと運動量、そして効果的なサイド攻撃の方でした。攻撃はともかく、あれだけアグレッシヴな守備(ボールを持った選手に躊躇なく2人目、3人目がアタックに行く)を90分間続ける体力には脱帽です。この敗戦で、欧州選手権出場はほとんど絶望になってしまいましたが…。
さて、次のベラルーシ戦は31日(水)にアンコーナで行われます。グループ1では最も弱い相手ですから、まあ勝利は間違いないとしても、内容が問われる試合になるでしょう。
1 ブッフォン;2 パヌッチ、5 カンナヴァーロ、6 ネスタ、3 マルディーニ;7 フゼール、4 ディノ・バッジョ、8 ディ・ビアージョ、11 ディ・フランチェスコ;9 インザーギ、10 キエーザ
リザーブ:12 マルケジャーニ、13 トッリチェッリ、14 ユリアーノ、15 コンテ、16 トッティ(R.バッジョ)、17 バキーニ、18 デルヴェッキオ
アウェイ、しかも気温が低くこのところ雨続きでピッチのコンディションも悪いという状況の下、ゾフ監督はあえて「ファンタジスタ」を外し、より「アスレティック」なフォーメーションで試合に臨むことを決めたようです。インタビューでのいくつかの発言を以下に引用します。
「攻撃的な試合をするつもりだ。しかし、ある種のバランスを考えなければならない。なぜなら、攻撃しすぎると、前線にスペースがなくなってしまい、ゴールがかえって難しくなってしまうからだ」
「バッジョもトッティも試合に出るに値する選手だ。しかし、チーム全体のバランスを優先して考えなければならない」
「コンパクトさと相互の連携が重要だ。メンバーが変わっても、チームとしてのコンセプトは変わらない。相手がどう出てくるかよりも、自分たちがどんなサッカーをするべきかを優先して考えている」
今回の合宿では、当初からR.バッジョがあまりいい状態ではない(とりわけ精神的に)ことが伝えられており、むしろ、インザーギとトッティの2トップでいくのか、それともインザーギ、デルヴェッキオ+トップ下にトッティというシステムを採るか、という点に注目が集まっていました。いずれにせよ、このところトッティがトップ・フォームに近い状態にあるだけに、「ファンタジスタ」好きのマスコミとしては、バッジョは無理でもトッティは出す(べき)だろう、という見方をしていたわけです。しかし、最終的にゾフが選んだのは、5人のFWの中では最も注目度の低かったキエーザでした。
しかし、この選択にももちろん理由はあります。アウェイであること、更にピッチのコンディションを考えれば、中盤を3人にしてトップ下に3人目のアタッカーを置くという選択は、守備面で不安が残るということがひとつ。2トップ+中盤4人で行く場合でも、プレッシングがより上手いキエーザの方が、トッティよりも守備での貢献が期待できます。更に攻撃の局面でも、戻って縦パスを出すことの多いトッティよりも、自らがサイドに開いて奥深くに入り込もうとするキエーザの方が、インザーギを前線で孤立させることが少なく、チャンスを作りやすいともいえます。キエーザは、このところかつてほど得点が多くないために過小評価されているきらいもありますが、今シーズン、インザーギとタイプの似たクレスポとのコンビで、貴重なアシストを量産していることでもわかるとおり、セコンダ・プンタとしてはトップレベル。いわゆる「ファンタジア」には欠けるものの、スピードとテクニックで彼に匹敵するFWはそうは見当たりません。個人的に、トッティ、バッジョが出場しないのは残念ですが、そういうわけで、ゾフの選択にも、十分な理由があることは確かでしょう。キエーザが先発することで、バッジョ、トッティのどちらか(おそらく前者)はベンチ入りからも外れる可能性が濃厚です。
このところのイタリア代表の問題は、攻撃の局面で中盤からのサポートが少なく、中盤でのボール奪取から縦パス一本、という以外になかなかチャンスが作れないこと。要は、ワンツーからの縦への走り込みや(とりわけ)ドリブルで数的優位を創り出すことができるMFがいない、ということです。今回のメンバーを見ても、中盤両サイドは「テクニシャン」というよりは「アスリート」、中央もほとんど守備専業のD.バッジョと、攻撃の起点にはなれてもその後の展開に参加することは少ないディ・ビアージョ(この点ではアルベルティーニも同じです)。ジダンやルイ・コスタはもちろんですが、中田がイタリア人だったらレギュラーが取れるのではないかという気もします。
対戦相手のデンマークですが、ワールドカップでは予想以上の善戦を見せたものの、その後の欧州選手権予選では、ラウドルップ兄弟を欠き(ミカエルは引退、ブライアンはいつもの召集辞退)、ここまで2分(ベラルーシ、スイスにいずれもアウェイ)1敗(ホームでウェールズに敗退)でグループ4位。このイタリア戦で勝たない限り、予選突破の可能性はほとんどありません。注目される選手もヨルゲンセン(ウディネーゼ)、ヘルヴェグ(ミラン)の両アウトサイドMFと、最近アヤックスで頭角を現しているFWのグロンキエールくらい。とはいえ、チームとしては徐々にコンディションを整えつつあり、もちろん楽観できる相手ではありません。好試合を期待しましょう。
GK:ブッフォン(パルマ)、マルケジャーニ(ラツィオ)
DF:カンナヴァーロ(パルマ)、ユリアーノ(ユヴェントス)、マルディーニ(ミラン)、ネスタ(ラツィオ)、パヌッチ(R.マドリード)、セレーナ(A.マドリード)、トッリチェッリ(フィオレンティーナ)
MF:バキーニ(ウディネーゼ)、ディノ・バッジョ(パルマ)、コイス(フィオレンティーナ)、コンテ(ユヴェントス)、ディ・ビアージョ(ローマ)、ディ・フランチェスコ(ローマ)、フゼール(パルマ)、ジャンニケッダ(ウディネーゼ)
FW:ロベルト・バッジョ(インテル)、キエーザ(パルマ)、デルヴェッキオ(ローマ)、インザーギ(ユヴェントス)、トッティ(ローマ)
GKでは、ペルッツィに加えて第3キーパーのトルド(フィオレンティーナ)までも故障で召集できず、マルケジャーニが94年のW杯以来の代表復帰を果たしました(ゾフはあくまでもパリウカを呼ばない決意を固めているようです)。DF陣ではペッソットが故障中で、左右のSBに加え、アウトサイドのMFもできるセレーナ(UEFAカップでローマを撃沈した立役者)が昨年秋以来2度目の代表入り。MFではコンテが、最近のユーヴェでの活躍を認められ、ディ・マッテーオ(チェルシー)を押しのけて3年ぶりの代表復帰です。ザンブロッタは、同時に行われるU-21欧州選手権予選(相手も同じデンマークとベラルーシ:常にA代表とU-21の試合をセットで行うのはいいシステムだと思いませんか?)の方に回っています。FWは、ヴィエーリとデル・ピエーロが使えず、インザーギの控えとなる「プリマ・プンタ」には、再びデルヴェッキオが呼ばれています(ヴェントラもU-21)。
予想されるスタメンは、おそらく次の通り。不確かなのは、「セコンダ・プンタ」に最近調子が落ち気味のR.バッジョを使うか、あるいはトッティ(キエーザ)を使うか、という1点のみでしょう。
1 ブッフォン;2 パヌッチ、5 カンナヴァーロ、6 ネスタ、3 マルディーニ;7 フゼール、4 ディノ・バッジョ、8 ディ・ビアージョ、11 ディ・フランチェスコ;9 インザーギ、10 ロベルト・バッジョ(トッティ)
とりあえずの第一報でした。
※別件のお知らせ:今週に入って、ペルージャではひどい茶番が進行中ですが、その顛末は週末の更新ででもお伝えすることにします。まあ、これで降格は確実でしょう。
1 ペルッツィ;2 パヌッチ、5 カンナヴァーロ、6 ネスタ、3 マルディーニ;7 ザンブロッタ、4 D.バッジョ、8 アルベルティーニ、11 ディ・フランチェスコ;9 デルヴェッキオ、10 R.バッジョ
GK:ペルッツィ(ユヴェントス)、ブッフォン(パルマ)
DF:パヌッチ(R.マドリード)、ネスタ(ラツィオ)、カンナヴァーロ(パルマ)、ユリアーノ、ペッソット(ユヴェントス)、マルディーニ(ミラン)、トッリチェッリ(ユヴェントス)
MF:アルベルティーニ(ミラン)、ディノ・バッジョ、フゼール(パルマ)、ディ・フランチェスコ(ローマ)、バキーニ(ウディネーゼ)、ザンブロッタ(バーリ)、コイス(フィオレンティーナ)
FW:キエーザ(パルマ)、ロベルト・バッジョ(インテル)、ヴィエーリ(ラツィオ)、トッティ(ローマ)
とりあえずは第一報まで。